韓国人にウケるお土産は？

2000年の春、わたしは語学学校の主催で、韓国旅行に行きました。ホームステイで2泊出来るのと、パジュ（坡州）の第３トンネル（北朝鮮が38度線を越えて掘ったトンネル）に行けるのが魅力で参加したわけなのですが、その時困ったのが「ホームステイ先に何を持って行ったらいいの？」ということでした。

日本的情緒が感じられるものがよいのか、それとも韓国でも日本でも共通に使うもので、役に立ちそうなものがよいのか。はたまた、お菓子や食べ物を持っていくとしたら、何がウケて、何がダメなのか。出発直前まで、わたしは悩みに悩みました。

学校の在日韓国人の先生に助けを求めると、「僕だったら、羊羹か最中ですね」とおっしゃいます。日本の占領時代の名残りかどうかは分かりませんが、羊羹や最中は韓国でも売っていて、ポピュラーなお菓子なんだとか。だから、韓国の人にお土産で持っていっても、あまりハズレはないだろうと。実際、韓国の空港でも、小さな羊羹や最中がいっぱい入った袋詰めを売っていましたから、先生のおっしゃることにも一理ありそうです。

でも、わたしは正直なところ、羊羹があまり好きではありません。好きでもないものをお土産で持っていくのは、何だか気が引けます。そこで、結局わたしは「クッキーの詰め合わせを、日本の風呂敷で包んだもの」と「その時一番売れていたＣＤ（確かＳＭＡＰのベスト）」を持っていくことにしました。クッキーなら、好き嫌いがあまりなさそうだし、子どもにはＣＤを渡したらきっと喜ばれるだろう。これだけだと、日本的なスパイスがないから、伝統柄の風呂敷で包んだら、ちょっとは目を引くかな。そんなわけで、ようやくお土産が決まりました。

この旅行に一緒に行った人たちが、どんなお土産を持って行ったかというと、和風の小物という人もいましたし、日本のゴマ油、というユニークな人もいました。彼女によれば、韓国では「白いゴマ油」が珍しく、持っていくと喜ばれるとのこと。重くて大変そうではありましたが、確かに持っていく価値はありますよね！

わたしの持っていったお土産は、どうやら「そこそこ」のウケだったようです。風呂敷に関しては、「モノを包むものだが、インテリアにもなる」と言ってもあんまり納得されなくて（もちろん、自分の語学力と説明力のなさも大いに影響している）、やや気落ちしました。

その後、何度かお土産を持っていく経験をしたり、韓国人が韓国にいる家族や友人に何をお土産に買うのかを見聞きするうちに、「これぞ韓国人へのお土産好適品」というものを見つけました。一般的にはやはり、お土産は「かさばらず、軽い」「壊れにくい」のが一番。そのうえ、韓国人の好みに合えば、言うことなし。あくまでのわたしの視点ではありますが、ご参考までに。

・うちわ、扇子――日本的な柄もよし、漢字が書いてあるようなものもよし。うちわは、韓国にもありますから、分かりやすいお土産だと思います。扇子は何しろコンパクトで、軽い点がいいですね。韓国も日本ほどではないにしろ、夏は暑いですから、重宝するのではないでしょうか。
・マウスパッド――日本より高速通信が普及している韓国。パソコンが家にある場合も多いと思いますので、このお土産が喜ばれる確率は高いのでは。この場合は、やはり日本的な柄がよろしいでしょう。わたしのおすすめは、東京国立博物館のミュージアムショップのマウスパッド。ここは、スーベニアショップとしても優秀だと思いますので、ほかのお土産も探せます。
・駄菓子詰め合わせ――これは、日本情緒と日本のお菓子文化を両方伝えようという、意欲的な（!?）お土産です。特に、ＪＲ上野駅構内のアトレにある「萬年堂」さんは、お店の方（韓国に３年住んでいた経験もあるとのこと）の対応も的確で、気持ちよくお土産を選ぶことが出来ます。パッケージに使われている千代紙は、あの「いせ辰」さんのもの。お菓子のほうも、とてもシンプルで好感の持てる味です。おもちゃと駄菓子を組み合わせたものや、包装紙が双六になったり、包装紙を切り抜いて組み立てると、昔の建物や電車になったりするものがあって、見ているだけでわくわくします。
・ごはんのくっつかないしゃもじ――ご飯をすくう部分がぎざぎざになっていて、くっつかない仕組みになっているもの。わたしのお友達（韓国人）のお母さんが、日本で買って、狂喜乱舞していました。ただし、日本人が韓国人に持っていくお土産として、果たして適当かどうかは謎です。
・招き猫――お商売をやっている韓国人なら喜ぶかな？　実際、ソウル市内の飲食店で、何匹か見かけました。ただ、ネコがあまり好かれていない韓国のこと、お土産にするには充分な説明が必要でしょう。意思疎通に自信のある人におすすめ。